感じ方・考え方はなかなか変わらない
- 小林 小林臨床心理オフィス
- 4月5日
- 読了時間: 2分
日帰りの遠出をした。前もってその周辺の飲食店をリサーチし、万全という体制で挑んだ。にもかかわらず、お目当ての洋食レストランへ行くと、店は暗く「休業日」という看板が。インターネット情報には書かれていない定休日だったよう。落胆しながら、予定外でバイキングレストランへ入った。人も多くにぎわっている。「これは期待できる」と思って待っていると、料理を選んでいた若い男性が目についた。彼はなかなか並んでいるものから選べないで空の器をもってうろうろしている。1週・2週と何もとらずにウロウロし3週目にしてようやく、茶色の塊を器いっぱいに盛っていた。その後、順番が来てみると野菜のお惣菜ばかりであった。野菜はありがたいけれど…。少し残念な気持ちになった。
私が「今日はお昼のチョイスは失敗だった」というと、同行者が、「でも、行かなかったらどんなのかがわからなかったじゃない」と。少し視点を変えると違った価値がうまれる瞬間だった。つい思っているものと違った結果になった時に,「失敗した」「残念だ」と考えてしまう。
認知行動療法のABCD理論では,A)出来事がある(レストラン思っていたものと違っていた)からC)結果(昼食の選択を失敗した)があるのではなく,A)出来事をどうとらえるかのB)信念(失敗は許されない・調べたのに失敗するのは許されない)が重要でB)信念が変わると(たまには失敗するよ・いつも成功するとは限らない・調べても限界がある)C)結果(これも経験・行ってみないと分からなかったよね)が変わることを目指す。同行者の発言に「そうね」と答えた。でもやっぱり「おいしいものは食べたかったなぁ」と思う。信念を変えるにはいつものB)信念が浮かんできた時に(失敗は許されない)D)論駁(反論)すること(人間だから失敗するよ・失敗は成功のもと)が必要という。
信念は日ごろの生活の中で培ってきたものなので、自然と湧き上がってくる。その自然に湧き上がってくる信念に対して論駁(「行かないとわからなかった」)し認知を変えるのはなかなか難しい。論駁は自分がこれまで自然に身に着けていた信念を客観的に見つめる作業なので、ひとりでできるようになるまでに時間がかかる。
カウンセリングは、自分考え方や感じ方を見つめる客観的な作業でもあります。信念はこれまでの生活の中で自然に身についた考えなので、なかなか自分で気が付くことができません一緒に考える人がいて、初めて自分の信念に気が付くことができたりします。自分の信念に気が付くと、少しずつ論駁できるようになっていけます。
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